『朧月夜(おぼろづきよ)』/美しい日本語、言の葉の風

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かつて愛読していた平安時代を舞台にした小説で、こんなシーンがありました。
まだ肌寒い春の宵、夜桜がそっと風に揺れる気配を楽しみ、
酒を酌み交わしている二人がいて。
空に在る朧月を愛でながら、
片方の男は、やがて笛を手に取り、奏で出すのです。
傍らにある気の置けない無二の友である相手と、
その稀有なる夜に捧げるかのように。
多くの言葉を交わすことはなく、また、必要ではなく。
そっとそこに溶け込むようにある彼らが、この上なく羨ましく感じられたのでした。

今回は朧月夜の、そして春の夜を表す言の葉たちをご紹介します。

『朧月夜』

こちらは俳句の歳時記を紐解きますと、春の季語とされています。
大気の中にある水分が増えて様々なものが霞んで見えてしまうことであり、
昼間はその現象を霞みというのですが、
夜間にその現象がみられる場合は、朧と表現するのだそう。

数多くの歌が残っていることからもわかる通り、日本人は昔から月を愛でてきましたよね。
澄んだ夜空で煌々と輝く、そんな月もまた心惹かれるのですが、
姿がぼんやりと霞んでいる、
まるで身持ちの堅い姫君が美しい薄絹でその姿を隠しているかのような月の姿も、
なんとも風情があると、そんな風に感じます。

秋でも霞む月を見かけることはありますが、あくまで朧月夜は春の季語とのこと。
また季語の朧夜は、朧月夜を略したもの。


『春宵(しゅんしょう)』

冒頭で紹介致しました光景、
朧月夜も花々もまた楽しめる春の宵、その短い時には、
非常に価値があると昔から言われているのだそう。

―――春宵一刻値千金
遥か昔の中国においても、
清らかな花の香りを称え、朧に霞む月の情景を価値あるものと言葉を残した詩人もいます。

また、春の夜を彩るのは月ばかりではありません。
それぞれに輝く星々もまた私たちの目を楽しませてくれ、
春の星、春星(しゅんせい)という季語が存在します。

せっかくなので、ほかにもある春の夜の美しい言の葉たちを。


『春暁(しゅんぎょう)』

暁は、夜を三つに分けたうちの、最後の時間のこと。
『宵(よい)』『夜中(よなか)』『暁』
春暁は、春の、夜明けのまだ暗い時間のことを指します。


宵も、夜中も、暁も…春の夜はそれぞれに心惹かれます。
特に冒頭で触れた春宵の頃、夜の散歩とか、憧れます。
しかし昨今何かと危険な世の中においては、
女の夜歩きは危ないので、ふらふら出歩くのもままなりません汗。

こうして小説や想像の中で楽しむというのも、
なんだかな…とため息をつきたくなってしまいますね。


また、春の夜には、こんな言葉も。


『春の夜の夢』

短くて儚いものの例えとして言われる、この『春の夜の夢』。
寒く厳しい季節を抜けてようやく息がつけた、心地よく柔らかな季節である春が、
まるで駆け足のように過ぎ去ることを、
あまりに短く感じることを惜しんで、
先人たちがそういったのでは…
そんな風に、想像したりします。
寒くて辛い冬の夜はひどく長く感じるけれど、
春の夜はとても短く感じ、朝起きるのが辛いほど。

万物の生命力を感じさせる季節であり、
半面、どこか儚さもある春という季節…、
次なる走者。夏という季節が、すぐそこまで迫ってきています。


ご覧いただき、ありがとうございました!

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🌸プロフィール🌸

深空月 彩(みそらづき さい)

このBLOG、言の葉の風と、恋愛名言・言の葉和BOTの管理人をしています、深空月(みそらづき)と申します🌺

ライター経験が10年ほど、そのお仕事を通して、日本語の奥深さを再確認。

心を打つ綺麗な言葉たちが少しずつ忘れられていくことが惜しくて、またもっと多くの言葉を私自身も知りたくて、様々な言の葉と、心惹かれるフリー写真をご紹介するこのBLOGを、再稼働させることとなりました。

堅苦しいことはない場所なので(*^-^*)、どうぞごゆるりとおくつろぎください。ご紹介する言の葉たちが、貴方の特別なものとなりますよう、願っております✨

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